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Nutshell wordS
ナット・シェル・ワード
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”好き?” OR ”嫌い?”
リアルな理由を伝えて、君の心に届ける。
”俺が別の女性と話す目を見れば、全部わかったはずだから”
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あの日、白っぽい風が通って、
君の青いスカートを翻した。
裏口のドアの辺り。
パーキングでデバイスを操作していると、
”君”が運転席のドアを開けているのが見えた。
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俺たちが出逢った年の5月。
半分雨と半分晴れの奇妙な空の下で、
昼休みの終わり、パーキングに現れた君を見つけた。
俺には気づいていなかったみたいで、
車内を見下ろし、何かを無心に探していた。
君は昼休みには、
いつも一人でどこかへ消えていた。
同僚たちが誘っているようだったけど、君は一人で行動していた。
その理由はよくわからなかったが、
君は自分が生きる世界や関わる人間たちについて、
心を許していなかったからだ、と思う。
”社交的なのに、自分の本心を誰にも明かさない”
ーーそんな女性は俺にとって初めてで、
そういう特性を持つ君が、俺にだけ秘密を打ち明け、
心を開いたことが不思議だった。
そしてそれこそが、俺が本気になった理由でもあった。
君は『魂の対』である俺に、
心理的報償をうまく与えていた。
計算じゃなかったかもしれない。
けれど、俺は正直そう感じた。
俺だけにしか理解できない事を言って、
心の深い場所を動かした。
本音を打ち明けてくれた事が、何より嬉しかった。
やがて、弱さも含めた”君”の『本当の姿』に強く惹かれていった。
あの昼休みの終わり、
君がパーキングで運転席側のシートへと身をかがめた時ーー
スカートが風に翻った。
俺は裏口のドアの辺りでその光景を見かけた。
多分お互いに、意図していなかったタイミングでの出来事だ。
実と言うと俺は、
その数日前、
昼休みにはどこかへ消える君を、無意識に探しに行っていた。
13時前にパーキングに車で戻ってきた”君”は、
運転席のドアを開け、
蝶々みたいなスカートをなびかせ、降りた。
それから、
シートを見下ろし一生懸命何かを探し始めた。
その光景に吸い込まれた。
綺麗な後ろ姿に、思わず見とれた。
しかし俺の手元のデバイスが”12:59”を示した時、
少し不思議な事が起きた。
上空で奇妙なものが動き、それは聞いたことのない音を立てた。
俺は空を見あげた。
多分、君も同時に見上げた。
一本の飛行機雲のようなものが伸びていたが、
飛行機雲とも少し違っていて、