🔷R07_I-1|過去問題
我が国の食料安全保障は、国内農業の持続的な発展や、農業の基盤である農村の振興を通じて、良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、かつ、国民1人1人がこれを入手できることを通じて確保されるべきものである。そのためには、「持続的な食料システム」の構築、「輸出の促進」等により海外からの稼ぐ力の強化、食料システムで環境への負荷の低減を図ることによる「環境との調和」等が必要である。
以上の基本的な考え方に関して以下の問いに答えよ。
(1)平時からの食料安全保障を実現するために必要な対策について、技術者としての立場から多面的な観点で、「持続的な食料システム」、「海外から稼ぐ力」、「環境負荷の低減」の3つの場面から課題を1つずつ抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、その技術課題に対する複数の解決策を、農業部門の専門技術用語を交えて示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
(4)前問(1)~(3)の業務遂行において必要な要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から題意に即して述べよ。
「日本技術士会」HP
🔷R07_I-1|骨子例
1.多面的観点からの課題抽出
〇観点1:持続的な食料システム
・国内農業生産基盤の脆弱化
・食料自給率の低迷と安定生産の困難
〇観点2:海外から稼ぐ力
・農産物・食品の輸出競争力不足
・国際標準への適合体制の遅れ
〇観点3:環境負荷の低減
・農業由来の環境負荷削減
・カーボンニュートラル実現への対応
2.最重要課題およびその解決策
▼最重要課題
・国内農業生産基盤の脆弱化の選定理由
・複合的課題による食料自給率低下への影響
▽解決策1:精密農業技術導入
・IoTセンサーとドローン活用システム
・AI画像解析と自動運転技術の導入
▽解決策2:土壌診断管理システム
・土壌総合評価システムの確立
・有機物施用と輪作体系の最適化
▽解決策3:新規就農支援体制
・技術習得とメンタリング制度の充実
・農地集約化と6次産業化の推進
3.リスク及びその対応策
◇リスク及びその対応策1:技術導入コスト問題
・中小規模農家の参入障壁の高額化
・共同利用システムと補助制度による対応
◇リスク及びその対応策2:土壌改良移行期間
・有機物施用による短期的収量減少
・段階的導入と収益補償制度による支援
◇リスク及びその対応策3:人材定着率低下問題
・研修修了後の定着率低下
・継続的フォローアップと段階的移行支援
4.業務遂行に必要な要件
☆技術者としての倫理の観点
・科学的根拠に基づく情報提供責任
・環境・安全性を最優先とした技術指導
☆社会の持続可能性の観点
・次世代への農業技術継承と人材育成
・食料安全保障と気候変動対応への貢献