🔶R07_I-2|過去問題
エネルギーは国民生活や経済活動の基盤となるものである。しかしながら、鉱産資源に乏しい我が国は、過去2回のオイルショックをはじめ、2011年の東日本大震災、2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻などに伴い、幾度となく安定供給の危機に直面してきた。2025年2月に閣議決定された第七次エネルギー基本計画によれば、安全性(Safety)を確保したうえで、エネルギー安定供給(EnergySecurity)、経済効率性の向上(EconomicEfficiency)と環境への適合(Environment)を図るという、「S+3Eの原則」の最適なバランスを追求していくとまとめられている。以上を踏まえ、以下の問いに答えよ。
(1)「S+3Eの原則」について、応用理学部門における技術者としての立場で多面的な観点から3つの技術課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえでその技術課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を、応用理学部門の専門技術用語を交えて示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
(4)前問(1)~(3)の業務遂行において必要な要件を、技術者としての倫理や社会の持続可能性の観点から題意に即して述べよ。
「日本技術士会」HP
🔶R07_I-2|骨子例
1.エネルギー安定供給における技術課題
〇観点1:エネルギー探査・資源評価技術の高度化
・複合探査技術による地熱資源精密探査
・物理探査と地化学探査統合による資源評価モデル
〇観点2:エネルギー変換・貯蔵システムの効率化
・新材料開発による光電変換効率向上
・二次電池・燃料電池の高性能化と産業排熱回収最適化
〇観点3:環境影響評価・モニタリング技術の精緻化
・汚染物質拡散予測シミュレーションと長期モニタリングシステム
・土壌・地下水汚染早期検出技術と再生可能エネルギー出力変動予測
2.最重要課題およびその解決策
▼最重要課題
・エネルギー探査・資源評価技術の高度化
・国内資源ポテンシャル正確把握と効率開発
▽解決策1:複合物理探査技術開発
・弾性波・電気・重力・磁気探査統合システム
・機械学習による異種データ統合解析と三次元モデリング
▽解決策2:地化学指標評価高度化
・同位体分析・微量元素分析組み合わせ評価手法
・地化学データと物理探査結果相関解析
▽解決策3:衛星リモート技術活用
・高分解能熱赤外センサーによる地表温度分布測定
・合成開口レーダーInSAR技術と光学センサー・LiDARデータ融合
3.解決策実行に伴うリスク及びその対策
1)探査精度向上による開発困難化
・段階的探査アプローチによる早期リスク特定
・弾性波トモグラフィ解析と経済性評価組み込み意思決定支援
2)地化学分析による汚染発見
・予防的環境評価システムによる開発前包括的環境影響評価
・高感度汚染検出と地下水浄化技術連携システム
3)長期影響予測の社会合意困難
・多段階合意形成プロセスと透明性高い情報開示
・住民参加型評価システムと市民向け情報可視化技術
4.業務遂行に必要な要件
☆技術者としての倫理の観点
・科学的客観性と技術的誠実性による厳密判断
・継続的技術向上と公正判断による職業倫理遵守
☆社会の持続可能性の観点
・現世代需要充足と将来世代資源継承バランス考慮
・環境影響最小化と地域コミュニティ共生による社会的受容性確保