🔶R07_I-2|過去問題
クラウドネイティブ技術とはクラウド環境を前提としたアプリケーション設計や運用手法を指し、近年のITインフラやシステムアーキテクチャの変革を促している。この技術を最大限に活用するためには、単なる現行システムのクラウドへの移行やマルチクラウドサービスの利用ではなく、クラウドネイティブ技術の特性を踏まえた適切なアーキテクチャの選定を行うことが求められる。クラウドネイティブ技術を活用する業務を具体的に想定し、以下の問いに答えよ。
(1)情報工学部門における技術者としての立場で多面的な観点から3つの技術課題を抽出し、観点を明記したうえで、その技術課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、その技術課題に対する複数の解決策を、情報工学部門の専門技術用語を交えて示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。
(4)前問(1)~(3)の業務遂行に当たり、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から必要となる要件・留意点を題意に即して述べよ。
「日本技術士会」HP
🔶R07_I-2|骨子例
1.多面的な観点からの技術課題抽出
〇観点1:スケーラビリティと性能
・コンテナオーケストレーションのリソース配分最適化課題
・分散システムにおける性能劣化要因と監視技術課題
〇観点2:セキュリティとガバナンス
・コンテナセキュリティとサービスメッシュ認証課題
・マルチクラウド環境でのセキュリティポリシー管理課題
〇観点3:運用・保守性
・GitOpsによるCI/CDとデプロイメント標準化課題
・オブザーバビリティとIaCによる環境管理複雑化課題
2.最重要課題およびその解決策
▼最重要課題
・マイクロサービス間通信レイテンシ増大とデータ整合性確保の複雑化
▽解決策1:サービスメッシュアーキテクチャの導入
・Istio等によるマイクロサービス間通信統一制御
・インフラレベルでの認証・監視機能自動化
▽解決策2:イベント駆動アーキテクチャの採用
・Apache Kafka活用による非同期通信パターン実現
・イベントソーシングとCQRSによるデータ整合性確保
▽解決策3:分散キャッシュとCDN活用による最適化
・Redis Cluster等による読み書き性能最適化
・エッジコンピューティングとCDN連携による地理的近接配信
3.波及効果および懸念事項への対応策
◇波及効果
・システムオブザーバビリティ向上と迅速な根本原因分析
・応答性能改善とコスト削減およびDevOpsチーム技術力向上
◇懸念事項1:運用複雑性の増大
・サービスメッシュ導入による制御プレーン管理複雑化
・IaCツールとSRE原則による運用品質均質化対策
◇懸念事項2:セキュリティリスクの拡大
・マイクロサービス相互通信による攻撃対象面拡大
・ゼロトラスト原則とDevSecOpsパイプライン統合対策
4.業務遂行に必要な要件・留意点
☆技術者としての倫理の観点
・個人情報保護法・GDPR遵守とデータプライバシー確保
・技術的中立性維持と職業倫理遵守
☆社会の持続可能性の観点
・エネルギー効率向上とカーボンニュートラル貢献
・技術的負債削減とユニバーサルデザイン配慮