🔶R07_Ⅲ-2|過去問題
我が国は、大規模地震が繰り返し発生しており、過去の地震災害の教訓を生かして、事前の地震対策を講じることが重要である。地盤工学分野において地盤の液状化による構造物の被害軽減は重要な課題であり、令和6年能登半島地震においても液状化の対策が実施されていない戸建て住宅等で液状化による甚大な被害が発生した。今後想定される大規模地震において、液状化の対策が実施されていない既設構造物(建築物、道路、河川堤防、港湾施設、空港施設等)の被害軽減に対する取組が必要である。この取組においては、限られた予算内で、地震後の事業継続や生活及び社会機能の維持を考慮した適切な被害軽減策が求められている。このような現状を踏まえ、既設構造物の液状化被害軽減について、土質及び基礎を専門とする技術者の立場から以下の問いに答えよ。
(1)多面的な観点から3つ以上の技術課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その技術課題の内容を示せ。(※)
(※)解答の際には必ず観点を述べてから課題を示せ。
(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、その技術課題に対する複数の解決策を、専門技術用語を交えて示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
「日本技術士会」HP
🔶R07_Ⅲ-2|骨子例
1.既設構造物の液状化被害軽減における技術課題
1)地盤調査・評価の観点
・地盤情報の不足と調査データの精度
・地盤特性の経年変化と評価手法の限界
2)構造物の安全性評価・優先順位設定の観点
・影響度評価手法の統一化と被害予測精度
・優先順位設定手法と統一的評価基準
3)対策工法の選定・施工の観点
・稼働継続下での工法選択制約
・品質管理と長期効果の確保
2.最重要課題およびその解決策
▼最重要課題
・既設構造物稼働継続下での液状化対策工法の選択制約
▽解決策1:微細粒子注入による地盤改良工法
・コロイダルシリカ等を用いた薬液注入工法
・注入条件の最適化と改良効果範囲の設定
▽解決策2:鋼管杭による局所的基礎補強工法
・小口径鋼管杭の圧入工法による打設
・既設基礎との一体化と荷重伝達機構
▽解決策3:地中連続壁による液状化範囲限定工法
・連続地中壁による側方流動抑制
・設計強度と根入れ長の確保
3.解決策実行に伴うリスク及びその対策
◇リスク及びその対策1:地盤改良効果の不均質性
・改良効果の不均質化と不等沈下リスク
・事前調査と改良効果確認手法
◇リスク及びその対策2:既設構造物への施工影響
・施工時振動・変位による構造物損傷リスク
・変位管理とリアルタイム計測システム
◇リスク及びその対策3:長期的な改良効果の劣化
・改良材の経年劣化と液状化抵抗低下リスク
・長期安定材料選定とモニタリング計画