精索静脈瘤に続き男性不妊のケースについてご紹介します。
勃起不全でクリニックに駆け込まれるケース
テレビなどでも「ED治療薬」のCMが流れていたりと、「ED=勃起不全」がどういうものかぼんやりとご存知の方は多いかもしれません。
クリニックに来院される患者様の中には、旦那さんの勃起不全が原因の方もいらっしゃいます。
一般的には40代での発症が多いED。
しかし、この患者様はまだ20代です。
「タイミングのときだけ途中で元気がなくなる」とのことなので、完全に勃たないわけではないようですが、タイミングが取れないと焦る気持ちはわかります。
さて、このご夫婦は自然妊娠できるのでしょうか?
そもそも勃起不全/射精障害とは
まずはEDについて解説しましょう。
EDとは、男性の「性機能障害」のひとつで「勃起不全」を指します。
名前の通り、行為の際に十分な勃起が得られないために満足な性交が行えない状態のことです。
一方、同じ男性の性機能障害のひとつに「射精障害」があります。
こちらは勃起はするが、早漏や遅漏、膣内での射精が困難など「射精機能」に難がある状態です。
今回クリニックで相談いただいた患者様はこちらのケースですね。
では、なぜ勃起不全や射精障害に陥ってしまうのでしょうか。
勃起不全についてはストレスやプレッシャーによる「心因性」と、動脈硬化や内分泌機能の障害による「器質性」の2つが理由として挙げられます。射精障害については、EDと同じくストレス等が起因の心因性の他に、包茎などの肉体的な問題や、間違ったマスターベーションが原因の場合も。
今回の患者様の場合は、心因性の腟内射精障害と考えられます。
心因性の勃起不全/射精障害の場合は、テストステロン値の低下による性欲や性的興奮の減少、またはプレッシャーやパートナーとの相性などが影響しているケースが少なくありません。
とくに不妊治療に向き合うカップルの場合、タイミングを取る度に大きなプレッシャーを感じる男性は多いでしょう。
治療法はあるのか
EDや射精障害についてわかったところで、気になるのは治療法ですよね。
まず、メジャーなものは「ED治療薬」でしょう。
具体的な薬名には「バイアグラ」「シアリス」が挙げられます。
ED、すなわち勃起不全患者に処方される薬ですが、2022年4月より不妊治療を目的とするED治療の際に保険適用となりました。
保険を適用するには「泌尿器科で5年以上の経験を有する医師から処方を受ける」や「本人もしくはパートナーのいずれかが6ヶ月以内に不妊治療を受けている」など様々な条件があるので、希望する際は医師やクリニックに確認してくださいね。
「薬で治る、しかも保険適用なんて最高じゃないか!」と思われた方、ちょっと待ってください。
ED治療薬は主に性欲があり、セックスに対する自信を取り戻す目的、且つ身体の機能に異常の無い場合に勧めることの多い薬。
上記に当てはまる場合は一定の効果が見込めますが、当てはまらない場合はED治療薬でも改善は難しいのです。
というのも、若い人にも生じやすい「心因性ED」の場合は、そもそもが興奮の源となるテストステロンが低下していたり、プレッシャーによってストレスを感じていることで起こるもの。
血流による勃起力のみをサポートするED治療薬は、勃起の起因となる性欲が沸かない場合には効果が薄いことがあるんです。
実際に、心因性の勃起不全/射精障害の患者さんの中には自分には合わない・上手くいかないと感じてらっしゃる方も。
「じゃあ、治療法は無いの?」
いいえ、そんなことはありません。
取り入れて欲しいのは、テストステロン向上のための取り組みやパートナーとのセックスの見直し、ストレスケアです。
まずはテストステロンを増やす習慣を付けましょう。
以前「不妊治療クリニックに来る男性の特徴」の記事で書いたように、バランスの良い食事や定期的な運動、質の良い睡眠の確保などを心がけるのが重要です。
そしてパートナーとの話し合いも大事。
行為や妊活に対しての焦りや不安、緊張など何でもいいです。
少しでも心に引っかかることがあれば、パートナーと話し合って。
妊活や不妊治療は二人三脚で乗り越えるものなので、1人でくよくよ悩んでいてはいけません。
また、ストレスが原因ならばそれを取り除くために、何がストレス源なのかを見極めましょう。
とはいえ、仕事や日常に根ざしたものが原因の場合は完全に取り除くのが難しいのも現実。
その際は、自分に適したストレス解消法を見つけるといいですよ。
音楽を聴いたり、自然の中を散策したり。
ストレス解消になるのなら何でも構いませんが、くれぐれも飲酒や暴食に走るのは避けてくださいね。
勃起不全/射精障害と診断された場合、自然妊娠できないのか
一度無くした自信を取り戻すのには、少し時間を要することもあります。
でも、諦めないでください。
サプリメンテーション(不足している栄養を割り出し、過不足なく補うことで治療に役立つよう働きかけること)や、生活習慣の見直しによって勃起力/射精力を取り戻す患者様はたくさんいらっしゃいます。
もちろん、シリンジ法や人工授精へのステップアップなど、妊娠への道は1つではありません。
自然妊娠ができればそれは喜ばしいことですが、ご夫婦としての1つの解決策として、逃げ道をいくつか作っておくことも大切です。
そのためにも、やはりパートナー同士の対話は必要と言えるのではないでしょうか。
まとめ ~ED傾向を感じたら早めの習慣改善を~
WHOの発表によると、不妊症のカップルの内48%は男性の性的機能や精子の質の低下が原因と言われています。
また、別の研究では子どもができないと悩むカップルにおいて、「行為へのモチベーション」などが一番の課題とも報告されています。
女性、男性ともに妊娠を望む場合、どうしてもタイムリミットがあることはご存知でしょう。
そのため、もしED傾向を感じた際には早めに対策をするにこしたことはありません。
特にお勧めしたいのが、「早めの習慣改善」です。
夜更かしの習慣はありませんか?食事はバランス良く取れている?運動は?飲酒は?
細かく挙げるとキリがありませんが、出来ることを少しずつでも改善していってください。
また、習慣改善と並行してモチベーションUPに効果的なサプリメンテーションをしてあげると良いでしょう。
亜鉛やビタミンDなど、基礎栄養素は勿論ですが、前回の記事でご紹介をしたテストステロンブースター(バイオドーパ)などテストステロンの向上に効果的な成分のうち、旦那様/ご自身に不足しているものを補ってあげてくださいね。
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