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第1回:PLは通信簿、BSは健康診断書。

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(株)ソクラテス代表 寺澤浩一

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○仕事ができる人は、ツボを知っている

この連載は、若いビジネスパーソンの皆さんに、仕事をする時の勘どころはここ!ということを、分かりやすく伝えるためのものです。

本屋さんのビジネス書のコーナーには、たくさんの専門書が並んでいます。1冊読むのにも時間がかかりそうですし、そもそもどれから読んだらいいのか、誰も教えてくれません。自分の仕事に関係がある新書を入門書にするという手もありますが、それでも時間がかかります。

僕自身、30年前は手探り状態でした。日経新聞を読んでも、ベストセラーになったビジネス書を読んでも、それが体系的につながらないため、本当の理解(使える知識)にはなりませんでした。30年が経った今、若い頃の自分に、最初にこれを理解していればいいよ!と語りかけたい気持ちです。

だからこの連載は、皆さんが早くゴールに近づくためのロードマップになれば、と願っています。

5分くらいの移動時間で読めて、一定の気づきがあり、自分の知識が整理されて仕事に活かせるようになる。そんな連載を目指しています。そして、必ず自分の実体験から学んだことを中心に書くこと。それを自分に課して進めていきます。

○なぜ、会計の話から始めるのか。

さて、最初に質問です。
例えばですが、以下の質問にあなたは答えられるでしょうか。

① 手元の現預金は、毎月の売上高の何ヵ月分あれば安全?
② 減価償却費は、費用なのに現金を支払う必要がないのは何故?
③ 出前館は、売上高よりも広告費が大きいのに潰れないのは何故?

いきなりの質問ですみませんが、ちょっと考えてみてください。自分なりの回答が思い浮かぶでしょうか?

僕なりの答は、この連載の中で順に示していこうと思いますが、こうした質問にとりあえず答えられるようになる、というのがこの連載のゴールです。経済ニュースを読んだ時に、一定の納得感を伴って理解ができ、同じような課題にぶち当たった時に解決策をすぐに引き出せるようにしたい、というわけです。

このゴールを目指すために、この連載では「会計」というテーマから始めます。それには理由があります。仕事をする上で「お金」はすべての基本だからです。いわば、仕事のOSが会計であり、その上にマーケティングや組織人材開発といったアプリが乗っかっている感じ。

会計は例えるならば外国語のようなものです。決して難しくはありませんが、基礎を学習していない人にとっては何もわかならいという特性があります。

例えばフランス語はフランスで生まれた子供なら誰でも話せます。でも、フランス語を学んだことのない日本人は、子供の会話すら理解できません。会計もそれと同じで、基礎がわかっていることがとても重要なのです。

経営戦略や、マーケティングや、組織人材開発といったテーマは、最新の知識を学習することがとても重要です。古い知識はどんどんバージョンアップしなければなりません。しかし会計は最初の基本を押さえていれば、ずっと使えます。また会計の基礎がわかっていると、会計×マーケティング、財務×経営戦略といった複合的な経営テーマにアプローチができるようになるのです。

○貸借対照表の「貸」「借」って、何?

では、ここから第1回の本題です。会計、正確には財務会計の話から始めます。
僕が勤めていた会社の決算書を初めて見たのは、30歳くらいの時でした。

1980年に入社した小さな採用PR会社で営業を担当し、30歳の頃に取締役になりました。といっても、僕が特段に優秀だったわけではなく、社長も先輩もみんな30代という、若い会社だったのです。ですから、営業マンとしてはそこそこ使えていたとは思いますが、僕に役員としての要件が備わっていたわけではありません。

役員会で最初につまずいたのが、決算書でした。管理担当の役員が決算書を全員に配り、説明をします。でも、わからない。損益計算書はまだいいのです。売上高はもちろんわかります。原価や各種経費もなんとなくわかる。利益には何種類かありますが、これも想像はつきます。すべて足し算引き算なので、理解はできるわけです。

ところが貸借対照表がまったく理解できない。そもそも「貸」と「借」とは何なのか。左側に「資産」とあるが、「資産」がなぜ「借」なのか。右側に「負債」と「資本」が上下に並んでいるが、借金と自分の資本がなぜ同列なのか・・・。貸借対照表が何を意味しており、そこから何を読み取ったらいいのか、何もかも、まったくわかりませんでした。(貸と借については、漢字本来の意味ではなく、左と右という記号だと思えば良い、と後で学びました)

30歳頃といえば、誰もが何らかの計数管理に向かい合う頃だと思います。受注や売上の管理、原材料の仕入れ管理、原価管理、在庫管理など、仕事には必ず数字が付きまといます。そして、計数管理の行き着く先が決算書であり、損益計算書と貸借対照表、キャッシュフロー計算書という財務3表になるわけです。

今振り返ってみると、この決算書が読めるかどうかで、職業人生は大きく変わると思います。特にスタートアップの場合、決算書が読めないと致命傷になりかねません。

財務管理と簿記を学習した経験から、僕は会計知識を実務に生かすためには次の3つを理解することが大切だと考えています。


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第1回:PLは通信簿、BSは健康診断書。

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この記事のライター

(株)ソクラテス代表 寺澤浩一

(株)ソクラテス代表取締役。 学生時代(慶応義塾大学文学部)よりコピーライターとして活動。1980年、(株)ユーピーユー入社。営業、編集、経理財務などを経験。1998年、(株)ソクラテスを設立。中小企業診断士として経営全般のコンサルティング、及びコンテンツ制作を行っています。

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