🔷R07_I-1|過去問題
スギ等の人工林の拡大と成長につれて、スギ花粉等によるアレルギー疾患が顕在化し、国民を悩ませる社会問題となっている。花粉症の対策としては、これまでもさまざまな取組がなされてきたが、今もスギ花粉症の有病率は高く、多くの国民が悩まされ続けている状況となっており、対策の強化が求められている。本問は、花粉症対策のための花粉発生源対策の加速化について問うものである。
(1)花粉発生源対策の加速化のため、技術者としての立場で多面的な観点から3つの技術課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その技術課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、その技術課題に対する複数の解決策を、森林部門の専門技術用語を用いて示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
(4)前問(1)~(3)の業務遂行において必要な要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から題意に即して述べよ。
「日本技術士会」HP
🔷R07_I-1|骨子例
1.発生源対策の技術的課題
〇観点1:林分構造改善の観点
・既存スギ林の間伐による選別除去技術
・花粉症対策品種の補植による管理技術
〇観点2:育種・品種改良の観点
・種苗供給体制の拡充と品質管理技術
・地域適応性を考慮した選抜・育成技術
〇観点3:施業技術・管理システムの観点
・花粉発生源の効率的特定・評価技術
・施業計画策定とモニタリングシステム
2.最重要課題およびその解決策
▼最重要課題
・花粉発生源の根本的削減への直結性
・長期的かつ持続的な対策効果
▽解決策1:段階的更新による改植技術
・帯状更新や群状更新による段階的改植
・複層林施業技術の適用
▽解決策2:機械化による効率的改植システム
・高性能林業機械活用の一貫作業システム
・コンテナ苗と植栽機械による省力化
▽解決策3:立地適応型改植計画
・立地因子を考慮した最適配置技術
・成長予測に基づく経済性評価
3.解決策実行に伴うリスク及びその対策
◇リスク及びその対策1:森林の多面的機能低下と生態系影響
・水源涵養機能や土砂流出防止機能の低下
・生物多様性への影響と生態系バランス変化
◇リスク及びその対策2:経済性悪化と森林所有者の経営意欲低下
・木材価格低下や収益性悪化の懸念
・初期投資費用増大による経営継続意欲減退
4.業務遂行に必要な要件
☆技術者としての倫理の観点
・科学的根拠による公正性確保
・適切な情報提供と説明責任
☆社会の持続可能性の観点
・多面的機能保全との両立
・環境配慮型改植技術の適用