🔷R07_I-1|過去問題
環境基本法第15条の規定に基づく第六次環境基本計画が、令和6(2024)年5月に閣議決定された。人類の活動は環境収容力を超過しつつあり、その結果、自らの存続基盤への脅威となるような、気候変動、生物多様性の損失、汚染という地球の3つの危機に直面するに至っている。この危機を踏まえて、以下の問いに答えよ。
(1)環境部門における技術者としての立場で多面的な観点から3つの技術課題を抽出し、観点を明記したうえで、その技術課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した技術課題のうち最も重要と考える技術課題を1つ挙げ、その技術課題に対する複数の解決策を、環境部門の専門技術用語を交えて示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行して生ずる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。
(4)前問(1)~(3)の業務遂行に当たり、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から必要となる要件・留意点を題意に即して述べよ。
「日本技術士会」HP
🔷R07_I-1|骨子例
1.地球規模環境危機へ技術課題
〇観点1:気候変動への緩和と適応
・温室効果ガス削減技術の実用化
・極端気象対応と地域脱炭素化の推進
〇観点2:生物多様性の保全と回復
・環境影響評価精度の向上とネイチャーポジティブ実現
・生態系ネットワーク構築と科学的管理手法
〇観点3:環境汚染の防止と循環型社会の構築
・高感度環境測定技術とリスク管理体制
・廃棄物適正処理とプラスチック汚染対策
2.最重要課題およびその解決策
▼最重要課題
・気候変動の緩和と適応の両立
▽解決策1:地域脱炭素化の戦略的推進
・地方公共団体実行計画の策定支援
・再生可能エネルギー最適配置とLCA評価
▽解決策2:気候変動適応策の体系的実施
・影響予測モデルによる脆弱性評価
・グリーンインフラ整備とモニタリング体制
▽解決策3:環境技術の統合的導入
・環境影響評価制度の温室効果ガス評価強化
・環境マネジメントシステムとカーボンプライシング連携
3.波及効果および懸念事項への対応策
◇波及効果
・地域経済活性化と防災機能向上
・環境経営促進とサプライチェーン脱炭素化
◇懸念事項及びその対応策1:再生可能エネルギー導入に伴う環境影響
・環境影響評価手続きの厳格化
・ゾーニング手法による適地選定
◇懸念事項及びその対応策2:技術導入の経済的・社会的負担
・グリーンファイナンス活用と補助金制度整備
・住民参加型計画による社会的受容性向上
4.業務遂行に必要な要件・留意点
☆技術者としての倫理の観点
・科学的根拠に基づく公正性確保
・予防原則と将来世代への責任
☆社会の持続可能性の観点
・環境・経済・社会の統合的計画立案
・多様なステークホルダーとの合意形成