📖目次|
🌟第1章 星のかけらが落ちてきた日
空からふってきた、かちいさな光。
そこから、すべてが始まった。
🌟第2章 こまったボボと ひみつの涙
とまどいながらも、大切なものを探す時間。
星は、そっと見守っていた。
🌟第3章 モモルのまちがい
まちがいは、いつも、心の奥に問いかける。
“それでも、あなたはどうしたい?”
🌟第4章 ロロのひみつの願い
静かな願い。やさしい祈り。
そして、自分を好きになるということ。
🌟第5章 星の扉とステラの光
森にひらく扉と、空へ舞うふたり。
やさしさの意味が、光にとけていく。
💌 読者への手紙――モモルより
物語のあとに、モモルからあなたへ。
そっと、心に届きますように。

⭐️第1章 星のかけらが落ちてきた日
ある夜のこと。
ロロとモモルは、森のはずれの丘にすわって、星空をながめていました。
🐼「ねぇモモル、あの星、さっきより大きくなってない?」
🐉「え?どれどれ……あっ、本当だ……」
星はだんだん大きく、あかるくなっていって――
――ひゅうぅぅぅ……!
夜空をすべるように流れて、森の奥に、ぽとん、と落ちていきました。
ふたりは目を見合わせました。
🐼「いまの、流れ星?」
🐉「きっと、願いごとを叶えてくれる星だよ!」
🐼「でも、森に落ちちゃったね」
🐉「うん……行ってみようか!」
こうしてふたりは、夜の森へと、星をさがしに出かけることにしました。
⸻
森は、しん……と静まりかえっています。
夜の葉っぱは少し冷たくて、地面からはやさしい土のにおいがしました。
ふたりは、足音をたてないように、そろりそろりと歩いていきました。
しばらくすると――
キラッ
木の根もとのほうで、ちいさな光がまたたきました。
🐼「あっ、あそこ!」
モモルがそっと近づくと、そこにはビー玉くらいの、小さなきらきら光る玉が落ちていました。
🐉「これが……星のかけら?」
ふわっと、あたたかい風がふたりのほっぺをなでました。
そのとき、どこからか、やさしい声がきこえました。
🌟「そのかけらは、たったひとつの願いをかなえるために、空からやってきたんだよ」
ロロとモモルはびっくりして、まわりを見わたしましたが、誰のすがたも見えません。
🐼「だれかいるの……?」
🌟「その願いは、自分のためじゃない、だれかのための願いしかかなわない。
でもね、だれかのためを思って願う心は、とっても強いんだ」
そして、風がやさしくふきぬけると、その声もふっと消えてしまいました。
モモルは、そっとその星のかけらを両手でつつみました。
🐉「……だれかのための願い、か……」
その夜、ふたりはそのかけらを大切に持って、星空の下を歩いて帰りました。
そして――
星のかけらをめぐる、森のなかまたちとの冒険が、はじまろうとしていたのです。
🌲第2章 こまったボボと ひみつの涙
ある朝のこと。
ロロとモモルは、森の中でゾウのボボと会いました。
🐘「ロロ〜、モモル〜! たいへんなんだよ〜!」
ボボは大きな耳をパタパタさせながら、息を切らしてかけてきました。
🐼「どうしたの? なにかあった?」
🐘「おかあさんのたいせつな木の実が、見つからないの……。
今日が“木の実のスープ”の日なのに……」
ボボのおかあさんが、毎月ひとつだけ作るスープ。
それは、森のなかまたちの間でも大人気のごちそうでした。
モモルはすぐに言いました。
🐉「よし! ぼくたちも探そう!」
ロロもにっこり。
🐼「ボボのおかあさん、きっと楽しみにしてたもんね」
⸻
ふたりはボボといっしょに、森のあちこちを探し回りました。
葉っぱの下、石のかげ、小川のそば――
けれど、木の実は見つかりません。
ついにボボは、しょんぼりとうつむいてしまいました。
🐘「……ぼく、まいごにしちゃったのかも」
その目には、うっすら涙がにじんでいます。
🐉「ボボ……」
そのとき、モモルのリュックの中で、なにかがポワッと光りました。
そう――それは、第1章で見つけた“星のかけら”。
モモルはリュックをそっと開けて、光に話しかけるように言いました。
🐉「これって……ボボのために願ったら、なにかが起きるのかな……」
でも、すぐに首をふります。
🐉「だめだ。まだ使っちゃいけない。
きっと、もっと大きな“だれかのため”にとっておくんだって、風が言ってた気がする……」
モモルはそっとリュックをしめました。
⸻
すると、そのとき――
🐼「あっ! あそこ!」
ロロが、すこしだけくぼんだ土の中に、小さな赤い木の実を見つけました。
🐘「あっ、それ! おかあさんの木の実だ〜!!」
ボボは大よろこびで、木の実を大切に抱きしめました。
🐘「ありがとう、ロロ、モモル!
……やっぱり、ひとりじゃ見つけられなかった」
その日、森にはまた、おいしいスープのにおいがただよいました。
⸻
その夜。ロロとモモルは、星のかけらを見ながら話しました。
🐼「あのとき、光ってたね」
🐉「うん。でも、まだ使わなかった」
🐼「えらいね、モモル」
モモルはちょっとだけ照れながら、空を見あげました。
空には、またひとつ、流れ星が流れていきました。
その光は、まるで「よくがんばったね」と言ってくれているようでした――。
☁️第3章 モモルのまちがい