会計の話ばかりしていると、少し気が滅入りますよね。ですのでこの連載では、定期的に話題のニュースや僕の経験談を挟み込んでいくようにします。
さて、コロナ禍でいろんなことが激変しました。リモートワークが定着したり、出張がなくなったり、夜の会食や接待がなくなったり。
言うまでもなく、飲食サービス業や旅行観光業、航空業などは大きなダメージを受けました。感染者数は落ち着いてきましたが、それらの業種はまだ回復途上だと思います。ほんとうに大変な状況だったこととお察しします。
停滞していた飲食サービス業の中で、ほぼ唯一好調なのが出前館やUber eatsなどの宅配業態です。あのマクドナルドもテイクアウトや宅配にいち早く対応したことで、良好な業績を示しています。
●売上高よりも赤字額が大きいという業績予測、大丈夫?
2022年10月15日の日本経済新聞に、「出前館、営業赤字続く」という記事が掲載されていました。それによると・・・、
出前館は14日、2023年8月期の連結営業損益が190億~210億円の赤字(前期は364億円の赤字)になりそうだと発表した。注文や配達に伴うシステムの改修や配達員の人件費などへの投資が続き5期連続で営業赤字となる。今後は配達システムの改修による業務効率の向上や広告宣伝費の抑制に取り組み25年8月期の営業黒字を目指す方針を示した。2022年10月15日:日本経済新聞
黒字になるのが2025年というのは、ずいぶん気の長い話に聞こえます。それまで赤字が続いて大丈夫なのでしょうか。
出前館の過去の業績を見ると、コロナ禍以前の2019年8月期に67億円だった売上高が、コロナ禍1年目の2020年8月期が103億円、2021年8月期が290億円、直近の2022年8月期が473億円となり、この3年間で700%超の成長を遂げています。飲食店には行かず、外出自粛でテイクアウトや宅配で済ますことが増えたとはいえ、すごい数字ですよね!
ところが営業利益を見ると、2019年8月期以降ずっと赤字で、特に2021年8月期には192億円の赤字、2022年8月期には364億円の赤字(予想は500億円超の赤字)と、非常に厳しい業績となっています。予測段階では売上高よりも赤字額が大きいという、とんでもない事態になっているわけです。
2021年10月14日:日本経済新聞
●競合激化と市場の成長鈍化で、消耗戦に突入
その理由を考えてみましょう。